水紋/
祥希いつみ
手にすれば砂になる
あのひとに似た 言葉の欠片
やがて風になり
記憶ごと消えてしまう予感
二人にとって
何の意味も持たぬ出会いだと
さよならも言わずに去ったひと
静かな浜辺を
わたしは今でも彷徨い続けて
海を渡る風の音に耳を澄ます
文字の羅列に過ぎないものを
何か特別な輝きに変えて魅せた
愛されたがった私の幻想
揺れる水面との戯れのとき
全てが やがて風になり
記憶ごと消えてしまう予感
手にすれば砂になる
あのひとに似た 言葉の欠片
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