私がもう一人いてもいい/こたきひろし
 
歌人は山崎方代がいい
俳句は種田山頭火
小説は太宰
それも「思い出」の書き出しの数行が好きだ
詩人は思い当たらない
有名は誰も

インターネットの宇宙に
儚く飛び交う蛍たち
私の好きな詩人たちは
そこに棲息している
蛍たち

私もまた蛍
インターネットの夜の空を
甘い蜜を探して
さ迷う蛍

私はもう一人いてもいい

思ってしまう

ネットに紡ぐ言葉の糸を
尻の明かりで灯しながら
私はもう一人いてもいいと
思うんだ

蛍の光もいつかは尽きるから
その時が来てしまったら
もう一人の私に繋ぎたい

私はもう一人いてもいい
私はもう一人いて欲しい
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