とおくて近い天国の詩/青花みち
です。でもわたし、羽根がないから浮いていられない。ふりをして、ばたつかせて、背骨が折れた。あなたは知っているだろうか。知らなくていいよ。うそ、知ってほしいよ。それもうそ、知らなくて、
うそ、
うそ、
うそ、
知らなくて。
ひとりきりの部屋に帰って、わたしはいまオムライスを食べている。あなたのオムライスじゃないからここは穏やかな地獄です。
あと五十年くらいしたらきっと羽根も生えてくるよ。そうしたらわたし、あなたに会いにいける気がする。路地を超えて、境界を超えて、ほんとうの言葉を連れ出して、地獄から飛んでいく。オムライスを食べに、天国へ飛んでいく。それまではもう少しだけさようなら。体やこころにはくれぐれも気をつけます。
あなたもわたしも、さ。
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