透明なナメクジと金の飾りに、骸骨のお姫さま/田中修子
 
者と、すぐに分かりました。ぶよぶよに膨らみ、飛び出しかけた、優しそうな目。骸骨のお姫さまは、ふしぎに、なにもない眼窩からポロポロと塩辛い涙を流すことができました。
からっぽであるはずのからだから、海よりも塩辛い涙があふれだしたのです。
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 「そんなふうになるまで、生きていらしたのですね。私はもうこのように、死んでしまいました。いまはあたらしいこのサメの伴侶を得て、この海の底でおだやかに暮らしています。あの人にそう、お伝えくださいませ。あなたならば、きっと帰ることができるでしょう、あの浜へ。こんな目にあって骸骨になってまで、あなたは生きているんですから」
「この金の飾りを、あなたたちのその
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