星/田中修子
ありったけ
薬をのんで
ねむろうとしたら
葉擦れが囁いてくれて ねむれずに
なみだがあったかかった わたしはまだ生きていた
お母さんみたいに高圧的
お父さんみたいに依存的
あなたお母さんとお父さんを
恋人みたいなひとをとおし
ほんとに命がけで
愛そうとしているけどそれは愛ではないのよ
と
継母がくちづけてくれて
ゆめからさめたゆめ
というよな話しをしたら昔はよく
「可哀そうだから
記憶を塗り替えてあげるよ」
とからだに手を差し伸べる人が
あんまり多くて
ずうっと
舌を食んでいたのだけれど
このごろ、ただひたすらに
こわかったのを想ってくれようとする
友だちができて
かなしかった
わたしは
とても
いとしい
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