散歩に意味なんてないのだけれど。/よーかん
ーソンに向かっている。ゴロゴロとまた鳴っているが、空はまだ薄っすらとしか雲に隠れていない。細く煙を空にはいてみた。チチチチチと向こうの草陰から虫の声が聞こえる。自転車の気配に身を左にずらすと、ママチャリの野球部が流していった。イガグリ頭に太い眉。得体の知れないオヤジと夕暮れ時にすれ違ったせいか、肩をイカらせてママチャリをこぎ出す。なんだか、日本も悪くないよな、そう思わせてくれる顔つきだったが、どこのヤツだかまったく知らない。
まったくこの千葉というトコロは。ポリシーなんてあったためしがない。
あれ、なんか忘れている。ああ、光った。ここからだと北東だから千葉市のほうか。音に気づかなかったな。でもローソンのヒカリってのはなんていうか、安心の象徴みたいなヒカリだよな。こう歩く速度を変えなくても、それがそこにずっとあってくれるから、別にいいじゃんか、そんな気分にさせてくれる。缶チューハイ買っちゃおうかな。灰皿にタバコをいれて、ドアを引いて中にはいった。「いらっしゃいませ。」
この声が聞きたかったのかもな。
ナニ買いに来たんだオレは。
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