ちいさなちいさなことばたち/田中修子
が家族が
獣の歯に
食われたのをみたのだ
猿をとらえ食いちぎり
共に家族に分けあたえ
やせおとろえ
飢えて倒れたのだ
最後の吐息の記憶よ
夕暮れ
わたしの血肉
夜に薄っすら浮かぶ白い月
わたしの骨
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「空と月」
空はこんなに青かったっけ
月はこんなに白かったっけ
いい夕暮れ
まいにちまいにち一回こっきり
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「フトンのきもち」
お布団が明るいおひさまあびて
香ばしくよろこんでいる
だから夜フカフカの
お布団もぐると
わたしもキャイキャイ
喜んじゃう
気のせいだろか
気のせいかもな
黙ってぬくたい風に揺れる
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