ちいさなちいさなことばたち/田中修子
 
が家族が
獣の歯に
食われたのをみたのだ

猿をとらえ食いちぎり
共に家族に分けあたえ
やせおとろえ
飢えて倒れたのだ

最後の吐息の記憶よ

夕暮れ
わたしの血肉
夜に薄っすら浮かぶ白い月
わたしの骨

---
「空と月」

空はこんなに青かったっけ
月はこんなに白かったっけ
いい夕暮れ
まいにちまいにち一回こっきり

---

「フトンのきもち」
お布団が明るいおひさまあびて
香ばしくよろこんでいる
だから夜フカフカの
お布団もぐると
わたしもキャイキャイ
喜んじゃう
気のせいだろか
気のせいかもな
黙ってぬくたい風に揺れる
[次のページ]
戻る   Point(8)