ちいさなちいさなことばたち/田中修子
 

ひとり

その透きとおるような
さみしさを
かろやかにさばけるようになったのは
いつからか

菜の花がうまくなったからもう春だ

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「椿のかけら」
好きよ好きよ
生きるって好きよ
地面に落っこっちゃっても
なかなかやめらんないんだもん

生きるって罪だわ

あたしからのチュウ

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「鳥」

おいちゃんはもう歳だから
こんな日は
いちにちじゅう
鳥をみているだろう
なにを考えているのかと

すると
なにも考えてないんだな
鳥は

人が想像しているほどには

おいちゃんが人でいるのも
あと少しだ

枝垂れ桜
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