紙のふね/はるな
 

ゆれながら
ふれると
濡れる

てのひらがあついことは
天使みたいに
すばらしい

朝がきて
夜がきて
また朝がきて
夜がきて

鳥がとんでいく
名前をよばれる
ふりむく
また
ゆれる

愛が
そうときめた
安らかさで
私の道を
奪ってゆく
ひとなでごとに
色を変える


いっときでも
おなじ舟に
乗ったことが
ほこらしいな

いまはもう
濡れて
ひしゃげた
紙の舟




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