終りに三つ/ただのみきや
悪徳商法
架空請求書が送られて来た
金額は自分で書き込むようになっている
魂の値段と 生の負債総額
その差額を生きている間に振り込めと言う
この後なに一つ善行をする予定はない
やりたいことをやりたいだけ
もともと予定どおりにいったことなんか
ぶすくれ
笑いが馬鹿らしいのは
おかしくもないのに響くから
仲間もいないのに缶を蹴り
缶さえ蹴れば仲間ができると思っている
蕾がおのずと開くとき 静か
気づいた者にだけほんの少し
幸せをこぼして
遠き日の無題
河よ なにを見た
海はおまえの旅に答えを与えたか
人よ なにを見た
死はおまえの生に答えを与えたか
《終りに三つ:2018年8月8日》
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