人は/こたきひろし
連日の暑さのせいか蝉が地面に落ちていた
蝉なんて死んでしまえば
朽ちた塵や芥の類いと何も変わらないだろう
目障りだから靴で蹴ろうとしたら
瞬間
心が痛んだのは何でだろう
もしかしたら
仏心ってやつかもわからない
右の手で蝉の亡骸に触ってあげたら
突然
羽が動いて飛び上がった
無論
それは生き返ったんじゃなくて
単純に死んでいなかっただけ
でも
何だか騙された気分になった私は
心のねじ曲がった人間だったからかな
そこに展開された命のドラマに
まず一番に
感動すべきが
人として重要だった筈
馬鹿言うな
下手したらこっちが太陽に焼き殺されかねない異常気象だ
たかが蝉一匹の生き死になんかに
何も感動沸くわけないさ
そんな蔑んだ目で見ないで欲しい
お日様よ
元はと言えば
あんたが悪いんだぜ
ギンギラニ燃えたぎっているからさ
何を言ってるんだ
人間よ
諸悪の根源はお前たちのせいだぞ
お前たちの
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