いいじゃないか、それで。/よーかん
 
なめる、その少女のような仕草に、老人の視線が気になるせいで、オレは天井をわざと見上げ、車内広告を読むフリをしてみてため息をついた。

午後から終電前まで。こんなシフトをったいダレが作ってくれたのか。出表の書き込みも、請求書の計算も、すべてめんどうな作業になっている。文春だか、現代だか、ポストだか、その広告の内容が、まったく頭にはいってこないのは、車内のお行儀がいい空気のせいかもしれない。お母さんが少女のように笑いながら、リスナービューアーに謝ってはアリガトウを繰り返している。ここぞとばかりに慰めの文章を打ち込むヤツラに、なんだかジブンを観ているようで、悲しくなってきた。

まあ、作業を始めれば、ダレの眼も気にしないで済むのだから。船橋で降りてドトールによって、JR船橋の前を歩く人の流れをながめよう。

まだ時間はあるし。

いいじゃないか、それで。











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