いいじゃないか、それで。/よーかん
晴れた日に外を歩くと、クルマの多さに辟易としてしまうのは、ボクが国道沿いに住んでいるからだろうが、平日の日中、京成の普通電車で船橋の職場に向かうジブンが感じる、居心地の悪さには、その排気ガスの不快感なんぞ、ノスタルジーを掻き立てる、風景の中の大事な要素で、ある意味快適なものだ。
オバサンとジイさんとバアさんしかいない電車で、ボクはタブレット端末を立ち上げライブミーの配信を眺めていた。
内職をこなしながら、画面に打ち込まれた文字と会話する、日焼けした細身のお母さんは、ボクのことをトラ君と呼ぶ。イヤホンに響く声で耳を塞ぎながら、目の前を通りすぎる京成沿線の変わらない風景を半開きの眼で睨んで
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