覚悟は何もできていない/こたきひろし
 
覚悟は何もできていない。
いっぼ一歩忍び寄って来ているに違いないが
覚悟は何もできていないんだ。

如何に老いても生への執着は剥がれて落ちないし
性への執着もまだ並大抵ではないのに
更年期を迎えて閉経した妻は極度に肌の触れあいを拒む。

男はいつまでも生臭いのに
女の粘膜はそうじゃないらしい
勿論、それぞれに
個体差はあるだろうけれど。

だから
という訳でもないのかもしれないが周囲の若い女が気にかかる。
男の卑猥な欲望をシートで覆いながら

そちらあちらに咲いて揺れている花の
僅かな隙間に言葉の水をかけてみたくなるのだ。
結果は指をくわえて涎を垂らすだけに過

言うまでもなくそこに愛など欠片もない
だけどそれは私はだけかもしれたいわけさ。

ああ
なんだかんだ
じたばたジタバタしながら
ある日いっかんの終わりが訪れるのが
男の人生の終末だったら
万々歳さ
そう思いませんか
一般女性の皆さん

改めて覚悟なんていらないでしょうよ。
そう思いたいです。
臆病なジジイの一人として。
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