水喰み ?/木立 悟
窓の隙間に浮かぶ手が
静かに夜を舐めている
灯りの無い窓の連なり
指だけが光を反射している
ひとつの入口に
花はあふれ
入りきれずに
花はこぼれ
束ねる音
放つ音
風と帆船
打ち寄せる蒼
全方位にやわらかな
冷たさ
つま先の広さに立ち
泣いている羽
空白
行方覆う鉄の火
空白
地の手に触れる空の手
入口に入りきれない花はかがやき
積もり 重なり 枯れることなく
水に浮かぶ水の静けさ
花を見送る光の水紋
しあわせな夢を
忘れては泣き
流し流されるものの行き着く場所に
終わらぬさざめきとはばたきを見る
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