空から/こたきひろし
落ちて来る、落ちて来る。訳も解らず否応なしに落ちて来る。真っ逆さまに落ちて来る。
地面に激突するまで落ちてきたから、その損傷の度合いは酷かった。
それが悪い夢なんだと気づいたのは眠りから覚めたからだった。
体は不快な寝汗をかいていたが、夜はまだ明けていなかった。
6畳の部屋の中は真っ暗。男は天井に眼を開き見つめた。
どうしたの?
布団の上。隣で眠っていた筈の女も眼を覚ましてしまったらしい。
何だか魘されてたわよ。怖い夢でも見てたの?
女が訊いてきた。
男も女も暗闇の中で言葉を交わした。
空から真っ逆さまに落ちてきた。地面に叩きつけられてグシャグシャになって、いっかんの終わり
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