中村梨々詩集『青挿し』について/葉leaf
ともに、作者の心象が鮮やかにつづられていきます。
私はここに、作者の世界観のようなものが見えるように思います。作者は階層的に秩序だった世界観を持っているのではないか、そしてその階層の秩序がある種の音楽を作り出しているのではないか。
いちばん中央にあって不動なモチーフが「青」です。これは世界の原理のようなものであり、空や海の根底にあるものです。その次の階層にあるのが空や海です。これらは季節の移ろいとともに変化していきますが、その大きさによって詩の世界を支えています。その次の階層にあるのが、季節の移ろいとそれとともに移ろう作者の心象です。このように、この詩集には不動なものから移ろいゆくものまでの階層構造が反映していて、その秩序が音楽の秩序のように響いているのではないかと思います。というのも、音楽もまた楽章からモチーフ、細部の動きという階層構造で秩序を生み出しているからです。
読者のみなさんにおかれましては、ぜひともこの詩集からいろんなことを感じとって、自由気ままに解釈していただければ幸いです。
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