ひふなろ白書/nemaru
 
ざるをえません。詩をかくことで心のささえを得ようとする、その気持ちがひどくせつないのです。初めて詩をかいたと言って寄せられる詩には、なれない手にペンをもった実感がなまなましくこもっています。これまで苦労に耐えて、ひとにうしろ指をさされまいとして、必死に生きてきたことでしょう。だが、こういうひとが詩をかくとき人目をはばかろうとしないのです。胸にたまっていたことがあふれ出るようなものが、そこにあります。男性の場合ですと、巧拙の差はあっても、年配者には多少の心得があって、かくものも実生活の常識からあまり逸脱しはしません。いきおい中途半端で、なまぬるい詩になってしまいます。ところが、女性の場合は、日常生活
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