夕/ふるる
 
君は急な坂を下っていったんじゃなかったのかい?

ところで、あの噂を知っているかい
噂って?
今度の十五夜の晩に、この森がなくなってしまうという噂だよ
ああ、、、、
それなら知っているという風に、雑多の蜘蛛はうなづいた。
八本の腕を腕組みして。
俺たちももう住む場所もなくなって、その後は一体どうなるんだい
蔵の闇はそわそわと辺りを見回して尋ねた。
夜風にでも聞くさ、、、、、
虚仮の夕まだきがごろごろと二人の前を通り過ぎていった。

君は急な坂を下っていったんじゃなかったのかい?

二人は夕まだきに再び同じ質問をした。

何をやっているんだろう
さあ、、、、
酒はあるかい
蝶のはらわたを漬け込んだやつ
あれか?
いやか?
まあ、もらうよ
何を思い出してか、二人は笑った。

星はちかちかと瞬いているが、まるで壁にくっついた電飾のよう。

夕まだきがまた近づいてくる。

君は急な坂を下っていったんじゃなかったのかい?

同時に言おうとしたので、二人はまた笑った。
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