七月の睡蓮の庭/石瀬琳々
 
の唇に触れるのを待っている
(そのまま窒息しても 水に引き込まれてもいいとさえ)
けれどあなたは水のなかでずっと黙して語らない
わたしをあの時のまなざしで静かに見つめ返し 



 それとも日々の泡
 あなたの唇がかすかに動いたような気がしたのは


ああその池がどこにあるのかすでに思い出せない
七月の光を浴びながら睡蓮の花が咲いている
怖いくらいに美しいのはあなたを隠しているからだ
水のやわらかなうねりに今もそっと抱かれているように
わたしだけの夢を永遠に見ているように



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