七月の睡蓮の庭/石瀬琳々
 
いつかわたしが殺したあなたは真夏の池に眠っている
水天井を睡蓮の花で彩られ 綾なされあなたは
わたしが逢いに来るのをずっと待っている
その白い咽喉をのけぞらせ(わたしが愛したその咽喉仏)
しなやかな四肢をのばしている朝夕を


誰にも知られない あなたは秘密の水脈
繰り返されるアラベスク模様のひとつの装飾のように
あなたとわたしだけの時間がそこにある
乱反射する光にわたしは眩暈を感じる
あなたの指先がわたしの足首を這い


 キスして
 そこから顔を上げて
 睡蓮の葉陰にあなたの切れ長の目が覗く


わたしは岸辺からあなたを見下ろして
あなたの唇がわたしの唇
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