きらめく深づめの記憶/
田中修子
文字の海に溺れる
すべて かつての
少年少女
酔い醒まし
夜を仰げ
幾百の
まなざしは
三日月を交わし
空たかく白色にまぐわい
しいか宿る卵から
乱反射する
燦燦の
万葉の
衣ずれの音が
また
うまれだされることを
けっして叶わぬ
ときめきよ
宿れ
うしなわれたひとにこそ
孕め
つやめく黒の夜を
あおげば
勾玉のよう
きらめく
深づめの三日月
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