鎖/ミナト 螢
立っている
風のないブランコの上で
身体に巻き付けた鎖の鎧
もう抱きしめたり出来なくなった
誰かの抜け殻に熱を上げて
錆びた鎖には映らなかった
思い出の日々を揺らし始める
砂時計をひっくり返して
愛の言葉を半分に分けたね
悪いこと何ひとつしなくても
人に好かれるのは難しいから
名前も解らずに摘んだばかりの
綺麗な花で目立とうとしたよ
夕暮れに馴染む服を着ていたら
沈まなきゃすぐに怒られてしまう
ブランコが描く寂しい孤の音
物語を鎖に繋いだまま
汚れたステージをひとりで降りた
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