大きくはない、手で/
霜天
んだ自転車で手を繋いだこと
あの部屋の広い窓から
飛び出すようにして
誰かが零れた日
夢を見ます
誰かが、大勢の笑顔で
繋ぎあった手を食べていく鳥
大空で破裂して
降り注いだものを
手に取り合って笑っているような
遠い日のこと
波打ち際が削られて
遥かな、街が消えます
日付を忘れてしまった私たちが
ここに立っていられることも
確かな、あの
大きくはない手、で
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