船/ミナト 螢
 
手書きのノートに
斜線が出来て
立ち上がれない
言葉を知っている

重たい文鎮を
乗せたように
闇に沈む船が
何隻もあり

光を求めて
与えられずに
深海の淵を
彷徨う魂

明日は誰かの
手書きのノートに
旅立つ前の
言葉が残されて

海から戻った
白い魂に
色を付けるのが
僕等の仕事
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