おくさま、わたしは大変つらい話をしなければなりません/
竜門勇気
白さはいつでも慰めになる
白いよだれがシャツに糸を引いて落ちる
真新しいズボンに輝く粒になって流れる
くだらないと
君はうなづく
背中を震わせて
笑うふりをする
窓の外をみてみた
君は僕の演奏を聞いていた
左手の小指をみながら息を吸う
そうしながら一つずつ
指を数えた
君の右手をみて
小指から順に
指を数えた
No.9
おくさま、わたしは大変つらい話をしなければなりません
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