ヒューマニズム/ただのみきや
 

それでも善意を施そうとする
自然界には無益なものであり
無益なものは自然界にはない
どちらにも転ぶし
どちらにも成りえる
一つの因子
そんなことを想い歩いていると
巣から落ちたのか
口を半開きにしたカラスの雛
親カラスが付かず離れず傍にはいたが
どうにも生きてはいけないようで
右に捲れ曲った嘴
子どもらしい好奇心で
すぐ足元からわたしを見上げている
黒い瞳がふたつ濡れて光っていた




              《ヒューニズム:2018年7月11日》










    
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