ヒューマニズム/ただのみきや
雨上がりの朝
二羽のカラスが二羽のスズメを追いかける
食うための 食われないための空中戦
右に左に離れては交差して
建物の陰で見えなくなった
が出て来た一羽の嘴には何かが挟まっていて
今度はそれを奪い合いカラスがカラスを追かける
スズメが逃れることを願っていた
たぶん
スズメのほうが小さくてかわいいから
スズメもしょっちゅう蛾や蝶などを追いかけ回し
嘴に咥えているのを見かけるけれど
カラスだって自分の子を大事にする賢い鳥だけど
スズメが可哀そうだとか
カラスが悪ものだとか
人間の物差しを当てたがるのは
たぶん しょうがないことで
――どの野鳥も平等だ
――カラス
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