求人広告/仁与
携帯から流れてくる歌声が
美しすぎて
死にたくなる
1ヶ月前に出した求人広告
ポスターはスルーされたまま
右端が破れかけている
狂った季節が太陽を刺激し
灼熱の海を容赦なく焦がす
ゴーストタウン化した街
信号待ちしている女の子
頭のてっぺんから
汗が噴水のように
ふきだしていた
カラカラに乾いた喉を潤すため
に作った炭酸割りのアイスコーヒー
今年入ってからのワースト3!
忘れかけていたオレンジ色の
グラデーション
ノワール色の夜を誘い込むと
悶々とした闇の中で
掌に乗っかったモヤ玉が大炎上
を起こし意識が飛んだ
夢うつつ
足の爪で過去を弄っていると
やがて訪れる白い朝
携帯から流れてくる歌声が
あまりにも美しすぎて
また
死にたくなる
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