やわらかいもの/ただのみきや
 
頭をいくら固くしても
心はそのまま
言葉の持つ意味は不動でも
渡す者
受け取る者
ふれる心はやわらかい
絹豆腐みたいに崩れたり
卵みたいに中身が漏れたり
隅々まで波紋を広げ
丈夫な外っ面まで液状化する始末
しっかり締めた頭のネジも
内圧で吹っ飛んで
被害者になって
告発者になって
判決を下し
断罪の剣を振りかざす
心を削って相手の人形を造り
造っては怒り壊し
また造っては罵り嘲り
誰でもないただ自分の心血を擦り減らし
四六時中憎らしい相手を心に抱えている
そして時折
自分は間違っていないのだと
堂々巡りの論法を積み上げる
首輪を引かれた犬が
いつも
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