幸福への歌/HAL
 
とても天気が良くて
気持ちいい風が吹いて
少し眼を細める光が射して

心を許せる友だちが数人いて
いつ聴いても飽きない音楽があって
偏見の目で見られても胸がときめくひとがいて

からだも心も調子が良くて
少しだけで心地よく酔えるお酒が飲めて
贅沢じゃなくても美味しいご飯が食べられて

時にはハメを外すこともあって
ひとりでも寂しくはない時間もあって
忘れられない幾つかの大切な想い出もあって

長いとも一瞬だとも感じるこれまでがあって
いつかそれもすべて終わることを受け入れられて
でもまだ時間の長さではない未来があることに気づく

そんなことを幸せと呼ばなくて
いったい何を幸せと呼ぶんだろうと気づく
ぼくはいまとても幸せなんじゃないだろうか

でもひとつだけつけ加えておくと
愛するひとの死を除いて
大抵の不幸はいつか笑えることをぼくは知っている


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