渡り廊下/しょだまさし
 
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二本ある渡り廊下で
今向かい合っている


彼との出会いも
この渡り廊下で
最後の一日もまた
ここに立っている


結局三年間
一度も同じクラスには
ならなかったけれど
お互い励まし合う仲に
なれて本当によかった
夏の最後の大会で
彼の立つバッターボックスに
向かって吹いた
トランペットの音は
最高の響きだったはず


向かいからの彼の
呟きは聞こえなかったし
問い合わせたラインの
返信も絶対嘘つきだ

私は鍛えた肺活量を
全開にして叫んだ
『好きだと言えコノヤロー!』
って

直後に届いた
ラインメッセージは
たった一字
“り”

読んで微笑んだ
私の耳に向かい
の廊下から望んだ
告白が渡って届いた
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