初恋/桜 歩美
時の流れとともに忘れそうになる思い出を
この春の風が思い出させてくれる
私の遅かりし初恋の中学3年生
あなたはとてもとても遠い人でした
あなたの顔を見るだけで嬉しかった
話が出来ればそれだけで幸せだった
真面目で優しく厳しさを持つあなたは
いつもいい加減だった私に
ときに叱りときに励まし笑いかけてくれました
それでも私の恋心には
気がついてくれないふりを通したあなたでしたね
でも卒業式にあなたは私のそばにいてくれました
あなたに勇気を出して言った
「第二ボタン下さい」
あなたは優しく笑って私に渡してくれました
あなたがくれた第二ボタン
今でも大切に持ってるよ
泣きそうになるとあなたの第二ボタン
取り出して元気をもらうんです
叶わない初恋だったけれど
確かにあなたは私に大切なものを
残してくれました
どうもありがとう
いつまでも輝きの消えない思い出を
この春の季節には
いっそう強くあなたのくれた第二ボタンが
キラキラ光って見えるんだよ
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