鳩マン/385
いつものように
目覚めたが
なにやら様子が違ってる
鏡の前で気がつくに
どうやら体毛がすべて
鳩毛に変化しているらしい
頭髪はもさもさと
長く不規則に密集
顔は産毛のつもりか
ペールピンクの短毛で
まばらにうっすらと
覆われている
もとより毛足の長い
腕の肘から先
足の膝から下は
まさしく鳩羽色で
昇りはじめた朝陽にかざすと
微妙なグラデーション
陰毛 脇毛については
驚嘆を占有するのは
虚しいことだし
夕方ダリンを家に呼ぶとし
会社には体調不良だと
偽りの連絡をすればよし
昨日食べた鳩サブレに入ってた
鳩エキスのせいなのか
あるいは十年前の夏
打ち上げ花火を手持ち噴射し
ちりぢりに焼きはらった
あの鳩の銀の炎か
それともビンラディンに
平和の使者として選ばれ
アジア仏教圏を統合する
テロリストの総統にでも
就任した証だというのか
どうせなら白にしてくれ
理由はどうでもよい
朝食はパンの耳にしよう
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