街のもの言わぬ羽/ホロウ・シカエルボク
でも、激しく胸を揺さぶるような悔恨みたいなものでもなかった、ただただ色褪せたフィルムのように乾いて薄っぺらな色合いが千切られてばら撒かれた鳥の羽のようにふわふわと現れては消えて行った、人生なんて存在しない、過去なんていい加減に書かれたメモのようなものだ、未来はもっとあやふやな約束のようなものだし、現在はこんなふうに足場を失くしている、間もなく夜は明けるだろうし、俺は少しの間眠るだろう、そうしていくつかの時間が流れに乗って消え去ったあとで、俺はまたこんな夜があったことをぼんやりと思い出すだろう。
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