鬼灯/こたきひろし
ムライが足を止めて聞き入った。
そしてサムライは垣根越しに可愛い少女を盗み見た。そして佐代はその熱い視線に気づく。
しかし商家の庭と垣根を間に挟んだ通りとの間には時間のずれがあったのだ。
どういう事かと説明すれば、商家の庭は明治の初頭。比べて商家の外の通りは幕末の時代で、到底埋まらない時代の壁が生まれていたのだだけどそんなタイムスポットは至るところにあってけしてめずらしくない。
だが人は誰もその事に気づかない
佐代も若いサムライもそんな事情に二人とも気づいてはいなかった。
若いサムライは行きずりに佐代を見初めたのだ。
しかしそれは永遠に埋まる事の叶わない哀しい時間の壁とズレに阻まれていた
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