きみはなにに殺されたんだろう/田中修子
版社にいっぱい応募したけど、みんな落ちた」
「おばあちゃんが死んだ」
「好きな人がさ、なんか家族で夜逃げするって。でもどうしても逢いたいんだ、理由聞きたいんだよ。一緒に会いに行くのについてって」
「二十歳に死んだら天才になれるかねぇ」
そうして二十歳できみは死んだ。
いまの精神科ならば出さない致死量のある薬を飲んだ。
黒い流れるような髪と、まるで吸血鬼のようにとがった白い八重歯をおぼえている。
私たちふたりはこころのかたちがよく似ていた。あの頃家にいられなくて、かといって家から出ることも恐ろしくてたまらず、けれど家に帰らないことも許されず、生ぬるい日々の中を窒息しながら漂流してい
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