生温い風邪の週末/ホロウ・シカエルボク
狂った世界の鼓動からは
もう受け取るものはなにもない
梅雨の晴間のウザったい午後に
少し前に死んだ詩人の詩を読んでいる
俺の世界は幸か不幸か
たいして変化してはいないが
本棚に並んでいる本やコンパクト・ディスクには
もうこの世には居ない人間の名前の方が多くなった
時間というものが確かに存在しているのならば
きっとそんなふうに現在を植え付けていくのだろう
記憶が未来を構築する
まだ熱いコーヒーを急いで飲み干してしまって
せっかく冷えた汗がまた吹き出してくる
もうそんなことを気にしてもしかたがない
気にしなければならないことは他にたくさんある
珍しく風邪を引いて
こ
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