おひさま/蜜
土の中の四角い箱の中で
小さな女の子が
｢そらがみたい｣
と言った
私はどうにかして
彼女に空を見せたくなったが
あいにく、今日は曇り空で
喜んでもらえるとはとても思えなかった
｢そらってどんなかたち？｣
空の形か・・・
どんな形かな
難しいけど確かなことは
広くて広くて
そう言えば、最近まともに空を見ていない
ビルがそびえ立つ都会の空は
建物によって視野を狭められ
小さくて小さくて
悲しい
｢パパとママはもういっしょにすめないって｣
子供の話は唐突過ぎる
パパとママは一緒に住めない、か
君には傷ついて欲しくないよ
これでいい、これでいいんだ
って思って目を瞑ってきたことが多すぎる
君には傷ついて欲しくないよ
小さな箱が開いたら
空から注ぐ暖かい陽の光ではない
無機的な電気の光が差し込んで
それでもそれを
君は
｢おひさま｣
と、呼んだ
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