失くしたらくがき帳/田中修子
ずいぶん歩いて歩いて、ひざこぞうはすりきれて足ひきずるようになったよ。
いくど、ここは果ての先だ、と思ったことだろ。
らっぱのみしたワインの瓶、公園のひみつ基地のしたでねむった夜、あったかそうな飲み屋でカクテル飲んでる外国人のすこしぶれたタトゥーが泣けるくらいまぶしく見えた。
ガッコってへんだ。個性的になれっていうから、うんとうんと本読んで文芸部の冊子にけっこういいのを書いて嬉しくなって先生に見せたら「ふーん、いいんじゃない」褒められたあと「でもさ、こういうのやるのって大学行ってからだよね」って釘をザクっと刺してくる。「そっちが本音ですか」ってきいたら「考えすぎ」。
どうしたら
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