永遠の雨/田中修子
つて
愛情を泣き叫び希う
子らであったことを
ぼくに あのひとらに
おもいださせておくれ
雨よ、ふれ
六月の雨、紫陽花の葉の、緑けむる
淡い水の器がしずかに みたされてゆく
あふれだす色の洪水で
ぼくの
母の父の
クラスメイトの
科学者の独裁者の兵士の
胸に焼け残っている
優しいものだけ
にぶくかがやく砂金のように
とりだしておくれ
絵本を破ることのできるちからづよい
手をくるめば
ぼくは
いまここで、永遠に
だきしめられた
きみもまた永遠を
かならず
与えたひとであったのだ
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