The Song of Hiawatha/もとこ
ても
すぐに別のアタシが
カビ臭い闇の中から生えてくる
ハァ……それもまた
歯車の一つにすぎないのかな
だって無防備なアタシは
サイコロの目が悪ければ
産まれた瞬間に殺されるもの
そんな風に
否定され
踏みにじられ
シカトされてきた
無数のアタシたちが
夕暮れ時を待ちかねて
世界に火をつけて回る頃
死ぬことによって優しさを得た
光る眼をした子どもたちが
次の夜明けを準備するために
心から優しいアナタへと
一斉に群がって貪り食い尽くす
(暗転)
やがて涼しい風が吹いて
乾いた鈴の音が世界に満ちる
アタシは血溜まりの中で蹲り
来たるべき新しい朝のために
微笑みながらアナタを受胎する
一眠りして清々しく目が覚めたら
アナタに新しい名前をつけてあげるね
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