白い鳥は/
坂本瞳子
予告なくもぎ取られた背中の羽根は
踏みにじられて血塗れの雑巾と化し
意識は朦朧としてひざまずき
涙も声も出せずにただ愕然とする
それでも月は昇り星は輝く
明日という日がまた来るのだと
冷気に包まれてもなお夢見てしまう
渇いた砂を握りしめて
群れから離れて孤独から逃避し
仮面を纏って優しさを振りまき
空腹を忘れるために鼻歌を唄い
青い空を仰いであの日を取り戻す
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