むこうへ むこうへ/
木立 悟
うなじから首から目から羽を吹き血を吹きながら辿る足跡
蜘蛛は蜘蛛何も残さず何も見ず虫を喰みただ夏に凍える
ふところの火を手に結び手をひらき何も無い日をかき分けてゆく
落としては拾い傷つく牙の手は獣の息と毛に埋もれゆく
ひらひらと潰されもせず生きている死地へ赴く蝶の帯の下
警笛が曇に光を植えてゆく下を向く花花こぼす花
しあわせは一人の寒さ寄る辺無さ振る手の先に居るものの無さ
白い手が空を諭して連れてゆく金と緑とそのむこうへと
戻る
編
削
Point
(10)