それ以外に何が/
ただのみきや
忘れられた歌が戸を叩く
風が酒乱の男みたいに木を嬲っていた
(何も知らない子どもがゲルニカを見ている
あなたは映らない鏡
恋している
空白の輪郭の投影よ
純粋すぎて
愛の入り込む余地はない
(何も知らない子どもがゲルニカを見る以外
鴎が三羽こんな山沿いを流れて往く
おふざけが過ぎた若者たちのように
《それ以外に何が:2018年6月13日》
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