花嫁/
ヤスヒロ ハル
美しい花の名が
記憶の書架にある
わたしは優しさを
はき違えないように
静かにそれに水を遣る
いつか
涼しい雨が六月を撃っても
梅雨色の萼に思い出を結わこう
むすめよ
わたしのむすめよ
忘れないでくれ
わたしのいた日々を
わたしの手が
あなたのつむじより
遥かに大きかった頃を
一緒に歌ったうたを
出掛けた日の空を
食事とその時の笑顔を
今、わたしは
ひとり歩いている
暖かくにじむさみしさに
傘をさし
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