人間誰しも/こたきひろし
た
それは人間が赦しを乞うために描いた幻の絵に過ぎないから
何処にも存在しないのは道理だ
なのにどうして
私は一時期信仰に傾いてしまったのだろう
迷える子羊になって
ではなく
この上なく恵まれていない私を自覚したからだ
でもそれはあくまで同じ人間同士の比較
我が儘な解釈と錯覚に過ぎなかった
言わば寂しさからの逃避行
逃れられきれない孤独からの離脱
でもね
宗教も哲学や倫理を追究したからと言って
暴力も殺人も、略奪だって虐殺だって
この世界からなくならないよ
その事に心底気づいたから
私は食べる事に専念するようになった
笑う事にそして泣くことにも
人間誰しも
飢えて死んでしまいたくないから
肉や魚の死肉、地上の野菜や果物をむしり取って遠慮なく食べるよ
そんなかんなで
いづれ死神がやって来て連れていかれるに決まっていても
死を怖がって神や仏に土下座なんて
してやるもんか
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