緊張と弛緩/唐草フウ
 


ひとりで ずっと待っていた
帰省先で亡くなった男性が住んでいたアパートの
部屋の畳は思っていたよりきれいだったが
乾拭きをして ちょんと座って

ひとりで 届くのを待っていた
荷物がまだ中途半端な部屋で
ひざをかかえて、いつまで待てば来るのか
眠たくなって 眠気をこらえながら

まだカーテンのない窓をあけて空を眺める


飛行機雲がふたつ地平へ落ち
晴れの顔を白いなみだが歩いて
ふやけていった

ひとりだけの部屋で
わたしはかたくなに縛っていた意地を
静かに少しだけ ほどいていた








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