それから/餅月兎
 
それからいかがお過ごしですか

墓石の上に揺らめく陽炎を眺めながら
あなたのことを思い返してみるが
明瞭で正確な像を結ばない
緩やかな輪郭がライラックのような香りとともにふわりと漂う


ずっと一緒にいたのにと
からかわれるだろう
あなたはそんな人だ
と思われている

それはわたしのなかのあなただ
あなたからもらった言葉の数々に
わたしは誤解をしていたかもしれないのだが
おそらくあなたも
自分のほくろの数も位置も把握していないし
後ろ髪の寝癖に気が付いていない

こんな時期だったろうか
洗濯前のわたしのシャツを納豆のにおいと喩えたのは
そういえばあなたは
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