けぶりぐさ/
福岡サク
君はジタンを喫(の)んでいる
象牙色した指が佳い
くちびると髭の剃り跡で
わたしの視線をからめとる
君はわたしに火を点けて
ハイにしながら 微笑する
君はもひとつ紙巻き咥え
灰にしながら 朝を待つ
わたしは君のけぶりぐさ
煙草の気持ちがよく解る けど
くちびるを恋うけぶりぐさには
けむに巻くよな余裕はなくて
君はジタンを喫んでいる
わたしは君にのまれてる
夢の継ぎ目に明け烏
応えるようにジッポを鳴らす
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